先日、久々に南アフリカランドのポジション形成をしました。
GDPの発表がかなり悪く、市場の予想を大きく下回り、その影響でランドは急落となりました。
これはポジション形成のチャンスと見た管理人は、ランド円7.3円でポジション形成し、ニンマリしていたのも束の間で、ランド円の下落は止まらず、7.2円・7.1円台と突入していきました。
ポジション形成するのは、ちょっと早かったかなーと思ったのですが、今週は7.2円後半~7.4円のレンジ内でした。
来週以降はどうなるか?といったところです。
南アフリカランドをポジション形成した理由は、少ない資金で高額スワップを得ることができる通貨ということで運用を開始しました(昨年もポジション形成したことがあります)。
新興国通貨は総じて高スワップですが、トルコリラより少額であり、メキシコペソよりスワップポイントが高いのが南アフリカランドを選択した理由です。
南アフリカランドのスワップポイントの魅力についてはコチラの記事で書いています(記事を書いた時と比べスワップポイントが変わっているのでご注意ください)。
南アフリカランドのポジションを形成する上で、当然、南アフリカ情勢を把握していなければ、運用は難しいです。
しかし、米国・ユーロ・オーストラリアなどの人気取引き通貨に比べ、圧倒的に我々が獲得できる情報量が少ないのが難点です。
ポジション形成のタイミングや利確のタイミングは、南アフリカ情勢をリアルタイムで知ることができなければ、思わぬ値動きに対応が遅れる可能性もあります。
そこで、管理人なりに、現在、南アフリカが抱えている問題について、まとめてみましたので、管理人と同じようにFX初心者で南アフリカランドを運用してみようと思う方は参考にしてみてください。
南アフリカの抱える問題
エスコム問題
エスコムとは、南アフリカ国営の電力会社です。
このエスコムが、多大な債務を抱えており、頻繁に停電を起こします。
債務問題は、長年の南アフリカ経済の問題として、格付け機関のムーディーズも目を光らせています。
この債務問題を解決できないと、格下げになるということも常々言われている状況です。
また、エスコムはたびたび計画停電を実施しています。
そもそも南アフリカは、急激な経済発展をしてきており、電力の需要に対する供給量不足が慢性的に続いている状況です。
それに加え、施設老朽化(債務問題があり、設備投資ができない)や労働者のストライキもあり、電力稼働が落ちるため、計画的な停電が必要となってきます。
計画停電にはステージ1~ステージ4まであり、ステージ4の発動はよほどのことが無い限り、発動することはありません。
ステージ1
時間帯:5:00~21:30の中で2時間半の停電
回数:日曜日を除く、週3回(2日に1回)
削減ワット数:1000メガワット
ステージ2
時間帯:5:00~21:30の中で2時間半の停電
回数:日曜日を除く、毎日
削減ワット数:2000メガワット
ステージ3
時間帯:対象時間は24時間いつでも1日3回2時間半の停電
回数:日曜日も含む毎日
削減ワット数:4000メガワット
ステージ4
時間帯:予告なくいつでも停電できる
回数:制限なし
削減ワット数:4000メガワット
ステージ4の計画停電は、もはや計画停電というレベルではありませんね。
実際にステージ4の実施は、2008年に初めて計画停電を実施して以来1度もなかったのですが、今年の2月に1回、3月に至っては6回実施されています。
これにより南アフリカの経済は滞ってしまいました。
各企業は電力不足となり、総じて利益が大幅にダウンし、それがもとでGDPも大幅に低下していると言わざるを得ません。
エスコム問題が解決されない限り、南アフリカの将来に光は見えません。
南アフリカ政府
南アフリカは、ズマ前政権時代は、汚職や失政がたたり、GDP成長率が低迷していました。
そこでクリーンなラマポーザ新大統領の元、新政権に大きな期待が寄せられ、今年5月に2期目となる総選挙も与党政権の過半数を獲得し、何とか政権維持が可能となりました。
今回2期目のラマポーザ新政権の注目ポイントは、新たな内閣の顔ぶれです。
現大統領のラマポーザが、前大統領ズマ派を一掃し、黒い噂のある副大統領のマブザ氏を排除できるか?に注目されましたが、結果、排除できませんでした。
更にズマ前大統領の妻であるドラミニ・ズマ氏の閣僚入りし、ズマ派の影響を受けるような人事となってしまい、ラマポーザの政治力に疑念がもたれています。
ラマポーザの指導力に期待が寄せられていただけに、ズマ派を一掃できなかったことはランドの下落要因の一つにもなっています。
更に衝撃のニュースが今週は飛び込んできました。
なんとラマポーザ大統領にボササという企業より不正金を受け取ったのではないかというニュースが流れたのです。
「ウソでしょ?」
汚職まみれのズマ前大統領に変わり、クリーンな政治のラマポーザまでが、賄賂とは・・・・・。
真相についてはまだはっきりしませんが、事実であれば、南アフリカの政治は終わっています。
このニュースに対して、来週、ラマポーザはどのような釈明をするのか注目されています。
これによりランド円は7.4円台を付けたのに、上値を抑えられ、下降に転じました。
このように南アフリカは常に政治の問題を抱えている状況で、市場からの信頼度を得ることができません。
ムーディーズの動向
南アフリカランドを運用する上で、常に気にしなければいけないのが、ムーディーズの格付けです。
南アフリカの格付けは、ジャンク認定になるかどうかギリギリのところに位置しており、ムーディーズの格付け発表ごとに神経質にならなければいけません。
格付け発表以外にも、ムーディーズが発言するたびに、南アフリカランドにとって、前向きな発言は少ないので、為替は下振れすることが多いです。
最近では、2019年に南アフリカはリセッションに陥る可能性が高いという発言があり、南アフリカランドの値動き回復の頭をおさえられた感じです。
GDP値がここ数年で最も悪い数値だったので仕方がないことですが、このタイミングでの発表はきついですね。
GDPの低調さは、個人セクターの需要が弱く、家計消費の投資も落ち込み、エスコムの計画停電により製造業や鉱業に悪影響が出ていると指摘しています。
ムーディーズが南アフリカに対して常々指摘している内容は、エスコム債務問題が解決の糸口が見えないと格付けを下げますよと言っています。
本当にエスコム問題は何とかしてもらいたい最重要事項です。
南アフリカ中銀の独立性
世界各国の中銀は、政府の介入を受けることなく独立性を保たなければならないというのが常識です。
しかし、南アフリカ政府要人は、中銀の独立性に疑問を持たれるような発言をたびたびしてしています。
市場からは、今後も金融政策に対する南アフリカ政府の干渉が強まっていくという見方がされており、南アフリカランドにとっては、かなりマイナスです。
その他の問題
上記が南アフリカランドを運用する上で、常に気にしなければならない問題ポイントですが、その他にも懸案事項があります。
南アフリカの最大貿易国は中国です。
中国の経済がコケてしまうと、南アフリカ経済にも大ダメージを及ぼすため、中国の経済指標も気にしなければなりません。
また、クガニャゴ中銀総裁が利下げの示唆する発言もあり、中銀の動向にも要注意です。
更に、南アフリカ原子力公社の人員削減計画による失業率の悪化や南アフリカ航空の債務問題など国営企業は問題山積みです。
エスコムがあまりにもひどい状況なので目立っていないだけで、色々とあります。
南アフリカランド運用の展望
南アフリカランドを運用していこうと思った場合は、問題山積みの通貨を取り扱うということを認識しなければなりません。
現状としては、南アフリカの経済情勢は、ここ最近では最悪の状態であり、2018年9月5日につけた7.098円を試す動きになる可能性もあります。
また、ラマポーザ大統領の汚職嫌疑の真相や中銀の利下げ・ムーディーズの動向など悪いことが重なれば2016年6月24日につけた6.39円に近いところまで下落する恐れもあります。
南アフリカランドの運用は、少額資金で高額スワップポイントを狙える魅力的な通貨ですが、これからトレードしようと思っている方には、現在の南アフリカを取り巻く状況は、あまりいい状況ではありません。
あまりいい状況にないので、安値で買い長期間の運用でじっくりスワップポイントを獲得するというのも理解できますが、非常にリスキーだということも認識していください。
管理人はFX初心者ですので、南アフリカランドの値動きをうまく売り買いできるとは到底思っていません。
ですのでランドの下落に備え、ロスカット防止の資金を口座に用意し、ひたすら嵐を過ぎ去るのを待ち、着々とスワップを積み重ねていく手法しか取れません。
しかし、恐怖が上回った場合は、損切りも覚悟しています。
低リスクで運用するなら他の方法もありますので、FX初心者の方は、よくよく考えてから運用を開始してくださいね。